No.7 不安障害とわたし ~パニック障害・不安障害で戦っている周りの対応方法~

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質問です。

目の前でいきなり「胸をかかえて、過呼吸を起こし、しゃがみ込む」人がいたらどうしますか?

何か月ものパニック障害・不安障害と戦っている人が「○○はまだできません」「今、調子が悪いので休みます(退社します)」と数か月間言われ続けたらどのように対応しますか?

答えは、「見守ること」です。

私はパニック発作・不安障害になるまで、お恥ずかしいながらこのことに対して全く理解ができませんでした。

しかし、パニック障害を体験し不安障害と診断されている現在、このように言っている理由が痛いぐらいに理解ができますし、「この辛さを皆に理解してもらいたい」とも思っています。

健常な人には理解できず、パニック障害・不安障害の人に対しての対応に困る方も沢山いらっしゃると思います。

完治するまでは、ずっと辛い症状に耐えながら皆に付いて行かなくてはなどと頑張っては、体調を悪くしての繰り返し、病気が治るまで数か月~数年このような状態が続くのです。そして、苦痛を理解されず周りから孤立してしまう人も少なくないと思います。

今回はパニック障害・不安障害と戦っている周りの人が、どのように対応や声かけをしていくのが良いのかお話しさせていただきます。

パニック発作

いきなり、胸を押さえて、ハアハアと呼吸回数が増えて、苦しそうにしている人を見かけたらそうしますか?

大抵の人は緊急事態と思い「大丈夫!?大丈夫!?救急車呼ぶ!?」など騒いでしまうかと思います。

もちろん、口唇や全身がチアノーゼになってパニック発作ではない呼吸苦・胸部苦痛であれば緊急であり救急車や周りの人を呼ぶ必要があります。

しかし、パニック障害の過換気発作であれば、数分で呼吸は落ち着くため、落ち着いて対応することが大切になります。周りが騒いでしまうと過換気発作が助長されてしまいますので気をつけましょう。

パニック障害で過換気発作になるとお話ししましたが、初めて過換気発作を起こす人・内服治療などをしていて過換気発作を起こす人の対応で少しだけ違った対応があります。

初めて過換気発作を起こす人への対応

初めて過換気発作を起こしている人は「呼吸の速さ・呼吸苦・手足の痺れ・動悸など」恐怖を体験します。「もしかしたら、このまま死んでしまうかもしれない…」こんな感覚に陥ってしまいます。

こんな心情の時に周りは「大変!?大丈夫!?救急車呼ぶ!?」などと騒いでしまうと、よけいパニックになり過換気発作が助長されてしまいます。

まずは、人目のない、おちついた空間へ誘導して、背中をさすり「大丈夫、ゆっくり呼吸しようね」と声を掛けて下さい。ゆったりと落ち着いた対応が必要となります。

内服治療などをしている人の過換気発作の対応

この場合は、過換気発作を経験済みですので、自分でコントロールすることができる人がほとんどだと思います。

内服治療を行こなっている人は不安時の薬を持っているため対処方法が自分できますので数十分間回復まで時間が必要となります。なのでそっと見守ってあげる必要があります。

しかし、過換気発作が恐怖と感じている場合は付き添ってあげることが必要となります。

初めて過換気発作を起こした人・内服治療をしている人が過換気発作を起こした人の対応で共通するとことは以下にまとめました。

  • 騒がず静かに見守る
  • 静かなおちついた部屋に誘導する
  • 必要時付き添う
  • 継続している仕事・勉強などある場合は、「そのことは心配しなくていいから」とフォローをする
  • 過換気発作がおちつくまで時間がかかることを理解する

温かく見守り、必要な時に対応する心がけが、パニック発作を起こしている人への安心材料となります。

「仕事(学校)に行けません・休みます」

今まで普通だったのに、いきなりこんなことを言われると「っえ!!何で!!さぼり!?」と思う人がほとんどだと思います。

パニック障害・不安障害は多大なるストレスからくる脳の機能障害です。人間は脳が働くことで体を動かすことができますよね。しかし、脳梗塞・脳出血など、脳の機能の障害のある人は麻痺、失語、寝たきり…と行動に制限がでて生活に支障がでますよね。パニック障害・不安障害も脳の機能低下・神経伝達物質の異常によって日々パニック発作に苦しめられ、体が思うように動かなくなり、予期不安・広場恐怖症・回避行動により日常生活や社会生活が送れられなくなります。

パニック障害・不安障害の人はこの光の見えない辛い状態によって、なおかつ、日常生活が奪われる苦しみ、そして、周りに理解されないであろうと思ってしまう苦しみと年単位で戦うことになります。

ここで、理解・協力者が現れない、又、理解されず否定などの言動をされると、この辛い苦しみから「人生が終わってしまう」という最悪な状況になってしまうこともあります。

私はまさにこの体験をしてきました。

「仕事にいけない…話すことですらパニック発作が起きるのにどうやって伝えたらいいんだろう、理解してもらえるのだろうか…」思えば思う程、パニック発作が助長されて苦しい症状に陥っていました。

会話もできないため職場長には、過換気発作が起きるまでの状況と仕事をしばらく休ませてもらいたいことを報告をメールしました。

職場長から「corocoroさん、メールありがとうございました。このメールで状況は把握しました。今日も(仕事で)一番大変だったと思います。また明日電話でお話ししましょう。今日は体をゆっくり休めてください。」

その翌日に電話をしましたが、感情失禁の症状が出現し、いきなり電話で嗚咽するほど泣き出してしまい(こんなに泣くのは子供時代以来でした)会話すらできませんでした。しかし、私がこんなに電話越しで泣いていても「うん、うん、ほんと、今まで大変だったんだよね。いいんだよ、うん、うん。」とずっと私の泣き声に共感してくれました。そして、電話が終わって数分後に「corocoroさん、先ほどは電話ありがとうございました。今月は全てお休みにしました。仕事のことは考えずゆっくり体を休めて下さい。また何かあったら連絡下さいね。」と送ってくれました。

いかがでしょうか。

  • 共感
  • 理解
  • 肯定

初めての不安障害で仕事に行けない状態が数か月も続くなか、職場長は一つも揺るぐことがなくずっと私を共感・理解・肯定をして下さいました。

この時から7か月経過した現在は仕事復帰ができる状態になりましたが、今でも仕事内容・出勤日数には制限がある状態です。しかし、職場長は今までも、現在も不安障害の私の状態を共感・理解・肯定してくれて、少しづつ仕事完全復帰まで協力をして下さっています。

パニック障害・不安障害で「仕事(学校)に行けません・やすみます」と言われた時は、こんな症状で苦しんでいるんだなと共感・理解・肯定をしましょう。決して否定や「頑張ろうよ」などと励ます言葉は使用してはいけません。苦しんでいる本人を余計に傷をつけて悪い状態になってしまいます。

「仕事(学校)にいけません・休みます」が何回も続くかと思います。決してさぼりではありません。脳の機能低下によって体が思うようにいかないだけなのです。また、本人もその理解されないであろうことに苦しんでいるため、長い目で共感・理解・肯定をしていきましょう。

メールでの連絡の希望

パニック障害といっても人それぞれの症状が出現すると思いますが、私はパニック障害の初期時他人と会話をすることができませんでした。会話をするだけで、息切れから始まり、過呼吸、手足の痺れ…とパニック発作を起こしていたのです。

会話をすることがこんなに苦しいとは、健常人には到底理解できないと思います。

ここで大変だったのが、職場への電話での報告でした。

この時は会話もスマホを利用することですらパニック発作が出現していたためどちらもつらかかったですが、メールの方がパニック発作が少なく安心して報告することができました。

今はメールの時代ですが、「仕事を休む時など電話で報告が当たり前」と言う風潮がほとんどだと思います。しかし、パニック障害・不安障害の人は健常人が普段できて当たり前のことができなくなるため、「メールでのやり取り」を希望された時は、理解を示してメールで対応することがパニック障害・不安障害で戦っている人への手助けとなります。

○○ができません。

パニック障害・不安障害で日常生活や社会生活にまで支障がでてしまうと、学校や仕事に復帰しても、最初は皆と同じようなことができません。

刺激が緊張となりパニック発作が起きる状態となるのです。

私は初めて仕事復帰をした初日の目標は「車で運転して職場までたどり着ける」でした。健常人には「っえ!!なに??」と全く理解ができないと思います。「車の運転なんて練習してくればいいじゃない」とも思われるかと思います。車の運転を何度練習しても、職場復帰の当日の運転とは緊張が異なります。

職場に到着して、周りのスタッフが話しかけてくれる。本来であればとても嬉しいことですが、不安障害で治療して初めての職場復帰に久しぶりの人が何人も話しかけてくれることがとても苦痛だったのです。

私は職場長に「今の状況は人から話しかけられることが苦痛であること、人と会話をなくて良い仕事をさせてもらいたいこと」をお願いしました。

数週間、人と会話をしなくて良い仕事をさせてもらうことで少しづつ、職場に通勤することに慣れ、職場スタッフとのお話しも苦痛ではなくなりました。

この少しの目標の達成から、現在は皆と同じ内容の仕事をすることができています(スタッフとの会話も苦痛なくできています)。

しかし、ここまでくるには「○○はできません」と、自分の症状を悪化させないために仕事をコントロールしてこれたおかげです。また、職場長をはじめ、周りのスタッフも理解と協力をしてくれたおかげです。

パニック障害・不安障害は全て小さなことから慣れて行くことが必要となります。

「○○ができません」と言った時は、「まだこの人には難しい状況なんだな」と理解を示してあげることが大切となります。小さなことからゆっくりと本人の目標に近づけられるよう援助していただけるとありがたいです。

まとめ

パニック障害・不安障害の人が苦痛のどん底から回復するには、周りの協力と理解が必要となります。

闘病が長期になるため、つい忙しかったりしたりすると、こんなに協力しているのにまだ回復しないのか、などと理解に苦しむことがあるかと思います。

しかし、パニック障害・不安障害の人は経験しないと理解できないほどの「死を感じる恐怖」を体験し、それが脳に焼き付いてしまい、日常生活や社会生活に影響がでて、回復までその気持ちや辛い症状と戦いながら数か月~数年戦っていかなくてはならないのです。

本人もそんな状況の中、一喜一憂の苦痛の日々で頑張っているのです。

ぜひ周りの人は、その気持ちに否定や激励はせず、長い目で、理解・共感・肯定の気持ちで、必要な時に手助けをしていただけたらと思います。

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