不安障害とパニック障害で処方されるのは不安時のお薬です。
「不安時のお薬はいつ、どんな時にのんだらいいの?」「不安時のお薬ばかり飲んで癖にならないの?」「一生不安時のお薬を飲んだ生活をしなくてはならないの?」
初めはこんな不安に押しつぶされながら、少しくらい体調が悪くても我慢していました。しかし、この我慢は間違ったやり方なのです。現在の私はまだ心療内科通院して内服治療していますが、不安時の薬は飲まずに仕事、長距離の運転、トンネルの運転などと、不安障害になる前の生活に戻ることができています。
それは、不安時の薬と上手に付き合ってきたおかげです。
今回は不安時のお薬とのお付き合いについてお話しさせていただきます。
今までの経過
突然の過換気発作からパニック症状が連日出現し、予期不安・広場恐怖症・回避行動が加わり恐怖の日々送っていました。苦しい症状にさいなまれて、日常生活はおろか、運転も仕事にも行くことができなくなり、心療内科を受診して不安障害と診断されました。
その時に処方されたのは連日内服するエスシタロプラム錠と不安時のお薬アルソプラム錠でした。
私の一生で心療内科の病気になるなんて思ってもいなく、また心療内科の病気に偏見もあり不安障害と診断されたこと、薬を飲まなくてはいけないことを受け入れることができませんでした。
しかし、「この苦しみからどうにか抜け出したい。」「不安障害で健全な日常生活が奪われるのは嫌。」との思いから内服治療を始めました。
1日1回のエスシタロプラム錠の副作用は私には辛いものでした。胃もたれはまだ我慢できますが、焦燥感がとてつもなく恐怖だったのです。内服してからしばらくするとソワソワしてきました。その恐怖もあり、動悸・脱力感が加わり、でもじっとしていられず家の中をしばらく歩いていました。この副作用が5日間続きました。
エスシタロプラム錠を内服したからと言ってすぐにパニック障害・不安障害が治るわけではありません。半年~1年、心療内科に通院しながら主治医とお話しして症状に応じて増量して、良くなってきたら減量、内服終了となるお薬なのです。心療内科の薬は調子が良いからといって自己判断でやめてしまうと離脱症状などに苦しんだり、調子が良くても再度症状がぶり返すことがあるため主治医の言う通り内服をしていきましょう。
こんな経験をしたものですから不安時の内服をすることも恐怖でした。ウォーキングやスーパーで買い物をするだけで動悸、ファっとしていてもたってもいられない状況になったり、運転中に手足に痺れが出現しても不安時の内服をしていなかったのです。
不安時のお薬を処方された時主治医から「運転する前や高速道路に乗る前に内服してください。」と言われただけでした。今思えばどんなタイミングで内服すべきなのか疑問になるのも不思議ではないですよね。
しかし、3週おきの心療内科受診の時症状を話すとパニック症状が出る前、どこかに行く前、午後行動が億劫になった時、眠れない時に内服してくださいと言われ続けていました。
長くなりましたが、私が不安時の薬を飲むようになったのは急に車の運転をしなくてはいけなくなった時でした。この時は5kmの運転がやっとで日常生活範囲外の運転をすることができていなかったのです。しかし、今すぐ車を運転しなくてはいけない状況に、不安時の薬を内服してから運転をしました。
なんと、日常生活範囲外の8kmの運転がパニック障害がおきることなく運転できたのです。なぜ、不安時の薬を内服せずやせ我慢をして、行動範囲を広めることすらできなかったのだろう…
この日から不安時の薬を内服して行動をすることができました。
不安時のお薬を内服していた時はまだ調子が良くない時期でしたから、「このまま一生不安時のお薬と付き合っていくのは嫌。」「薬から卒業したい。」そんな不安もありながらの治療でした。
不安障害と診断されて7~8か月経過した現在は不安時の薬を一切内服せず仕事をして日常生活も楽しむことができています。もちろん、不安障害になって恐れていた広場恐怖症もいつの間にか無くなっていました。それは、半年間不安時のお薬とお付き合いをしてきた結果なのでした。
不安時のお薬とのお付き合い
「不安時のお薬を内服して変にならないの?」「不安時のお薬を内服して眠くならないの?」
個人差があるためはっきりと言いきれませんがが大丈夫です。
ではどんなタイミングで内服すればいいのでしょうか?
1.パニック発作が出現たり、調子が悪くなった時。
2.パニック発作や調子が悪くなる前。
答えは…2.パニック発作や調子が悪くなる前です。
不安障害やパニック障害では死を覚悟する恐怖を体験しています。また「またあの症状になったらどうしよう。」などと予期不安や、狭い所・暗い所などにげられない空間にいられない広場恐怖症、予期不安から特定の場所や行動から逃げてしまう回避行動と、こんなにも大変な症状に悩まされます。
これらはしっかり心療内科に通院いて治療をすることと、自分で行動を広めていく認知行動療法の2本柱が必要になります。
不安障害・パニック障害の人にとって認知行動療法は恐怖と向き合わなくてはならないためとてつもない根気が必要な療法です。
こんな時に必要なのが不安時のお薬です。
不安時のお薬を内服せずに認知行動療法を行うとどうなるでしょうか?
答えは、認知行動療法の目標が恐怖となりますます予期不安が増強して行動範囲を広めることができません。そして症状が悪化した時に不安時の薬を内服する癖がつき、「具合悪い時に内服すればいいや。」との考えとなり認知行動療法の目標はおろか、不安時のお薬とも上手にお付き合いして卒業することができません。
しかし、不安時のお薬を認知行動療法の前に内服するとどうでしょうか?
答えは、認知行動療法の目標が達成でき、行動範囲を広めていくことができます。最終的には不安もなくなり不安時のお薬も卒業することがでします。
私の最終的な目標は不安障害になる前の生活に戻ることでした。それは、仕事をして日常を楽しむことです。病欠を卒業してからしばらくは朝、昼と不安時のお薬の内服をしながら仕事をしていました。不安時のお薬を飲むことで忙しい仕事にもなれて、仕事中体調が悪化することもなく、その経験が自分の自信にもつながり、仕事に慣れることもできました。そして現在は不安時のお薬は内服をしないで仕事・日常生活を送っています。
まとめ
不安障害・パニック障害の辛い症状から卒業して日常生活を取り戻すには、心療内科に通院して治療を行うこと、認知行動療法を行うことが必要になります。
行動する前に不安時のお薬を内服することで、行動範囲が広まり自分に自信をつけていくことができます。
初めはとても辛いですが、不安時のお薬の力を借りて行動して行きましょう。いつしか、以前の自分に戻る時がやってきます。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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